006.洞窟を通ってゆく

男を追い、洞窟を通ってゆく夢
yuki 21歳 女性
街を歩いていると目の前に40代ほどの男性が立っていたのが見えた。私の知っていた人かもしれないしそうでないかもしれない。ためしに声を掛けたがその人は走り出してしまう。本能的にその人を追いかけ始める、大声で呼び止めても止まってはくれない。
その内、洞窟に入っていくのが見えた。つられて私も入る。
だが追いかけていたはずの人を見失ってしまい明かりも消え、右も左も上も下もわからない。だが目が慣れ少しだけ見えるようになると出口を探し始めた。わずかな明暗を頼りに道を進むが洞窟の中に反射する光では遠近感すら頼りない。そして光を反射した壁は何かの形を持っていうようにも、私を見ているようにも見え不気味。
そしてある角を曲がると、明かりが差していた。だが出口と呼ぶにはあまりにも小さく、顔が出せる大きさの窓。その外に広がるのは広大な高原と青い空。外にはまず人の姿がみえた。そして二匹の大きなトカゲのような… 恐竜が私のすぐ目の前を闊歩している。外にいた人間たちはどうやらそいつらと戦っているようす。使っている武器はミサイルやら機関銃やらでしたが。外に出たい私は一生懸命彼らに伝える。
「たすけてー!!」
「あそこに人がいるぞ!!」
と誰かが私に気づき ドラゴンを倒すことに更に力がかかったのか何か。私めがけて撃ってきた。

- 恋愛に対する心の揺れ動きを表す夢 -

☆ 夢解釈No.874 ☆
街は、外的世界(世間的な感覚)を表しています。
そしてこの40代の男性は、あなたの中の男性性を表しています。
男性性とは、理論的、客観的、攻撃的で原則にもとずいた行為をとるイメージ像のことです。
この夢では、その街に慣れ親しんだ男性のイメージ、つまり、社会的、世間的なニュアンスをもつ男性性です。あなたは、そのだれだかよく分からない男性に声をかけますが、彼は走っていってしまいます。
これは、自我が自分の中に眠る男性性のイメージ像に近づこうとしたことを意味しています。
その男性のあとを追い、あなたは洞窟の中に入っていきます。
洞窟は、無意識という未知なる危険な領域を表していて、そこは暗くて右も左も上も下も分かりません。
どうやらあなたは、男性性という未知なるイメージを追い求めた結果、心の深い領域、無意識の領域に足を踏み入れてしまったようです。
通常、洞窟や海の中といった無意識を象徴するものは、自分の内的世界に興味を持つ人の夢に、よく出てくるものです。きっとあなたも、自分の内的世界に強い関心がある人なのだろうと思います。
そして、洞窟の中にはいったら、最初はまったく見えません。これは、男性性というものが未知でよくわからない、それがどういう性質のものなのか見えない、という意味です。
やがて、少しだけ目が慣れてきて見えるようになり、この暗闇から出たいと思い、出口をさがします。
≪光を反射した壁は何かの形を持っていうようにも、私を見ているようにも見え不気味≫というのは、この夢のテーマとするものの雰囲気をありありと伝えてくれます。
このときはまだ、あなたの無意識の中の男性性は、人格化のかたちをとるまでには至っていなくて、漠然とした不気味さでしか表現しえなかったのです。
そして、角をまがると光がさしています。これは、いままでは無意識的でわけが分からなかったのが、少しだけ意識化されてきたことを意味しています。
ですが、その危険な男性性の無意識領域は、完全には自我によって把握されることはなく、出口と呼ぶにはあまりにも小さく、顔が出せる大きさの窓しかありません。
これは、男性性には興味があって惹かれてはいるのだけれど、そこは自我にとってあまりにも危険で理解に難しいため、自我は把握しきれずに、その程度の大きさの出口でしか男性性を認めきれていないことを意味しています。
そして、外には広大な高原と青い空が広がっています。
そこは最初にでてきた街の世界から比べると、原始的・非日常的な世界で、日ごろの日常的な意識の世界からは遠く離れた世界、とても深い心の層を表しています。
≪外にはまず人の姿がみえた。そして二匹の大きなトカゲのような…≫
ここに出てくる≪人の姿≫というのは、おそらく男性で、いままで追い求めていたイメージ像が、まず始めにでてきたのだと思います。
そして、トカゲ、恐竜、ドラゴンといった生物は、無意識の中の(つまり、あなたの心の底にある)野蛮で原始的な心的エネルギーを象徴しています。
もし、この生き物たちで象徴されているような野蛮なエネルギーが意識の世界を支配してしまうと、あなたは野蛮な人となってしまうので、あなたの中の男性性がドラゴンやらを攻撃して、なんとかやっつけようと戦っているのです。
≪外に出たい私は一生懸命彼らに伝える。「たすけてー!!」「あそこに人がいるぞ!!」と誰かが私に気づき ドラゴンを倒すことに更に力がかかったのか何か。私めがけて撃ってきた。≫
この暗い洞窟からでて、男性原理の世界に行きたいと願うあなたは「たすけてー!!」と叫びます。
暗く、未知なる男性性のイメージ(洞窟)から、無意識の世界に広がる男性原理の明るい世界(高原)に行こうと願うのです。
すると、誰かがあなたに気が付き、攻撃してきます。
くどいようですが、無意識の領域というのは、自我にとっては危険な領域なのです。そこにはコンプレックスやら外傷体験などの、わけの分からない否定的な要素がたくさん散らばっていて、そんな領域に無闇に入り込もうとすると自我は傷ついてしまいかねません。
この夢には、「男性性に惹かれ、そのイメージに導かれて無意識の中を探検する」という一連のストーリーがあって、「その男性性をなんとか把握しようとする」というテーマがあり、男性に対する好意と恐れが、お互いの強い力で揺さぶりあっているのです。
そして、この元型的なイメージが現実に実在する一人の男性に向かって行動を起こしたとき、それを私たちは“恋愛”と呼びます。
この夢は、あなたの恋愛に対する心の揺れ動きが、みごとに表されているように思います。

【シンボル】
街 = 外的世界、世間的な感覚。
40代の男性 = 日常的なニュアンスをもつ男性性(アニムス)。
洞窟 = 無意識へ通じる道。内面を見つめているということ。
洞窟の壁 = まだ具体的な姿になっていな未分化な男性性。
洞窟の中の曲がり角 = 無意識を、意識化するきっかけ。
小さな窓 = 無意識的だったものの意識化を象徴。
外に広がるのは広大な高原と青い空 = 心の深い層の、心像風景。
高原にいた人 = 本質的なニュアンスをもつ男性性(アニムス)。
トカゲや恐竜、ドラゴン = 野蛮な心的エネルギー。

【返信】
ありがとうございました。
最近ゆめなどめったに見なくなっていたので、いつまでも忘れられないこの夢が気になっていました。
まさか恋愛に関した話だったとは思わず、意外で驚きました。
それでは、また不思議な夢を見たらまたよろしくお願いします。
2007年02月21日